小説「復讐の泥沼」感想・あらすじ ~見えていた輪郭が静かに崩れていく~
2026-10-05
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【この記事で触れていること】
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・ふたりの人物に抱く印象が、少しずつ変わっていく読書体験
・「求めること」と「振りまいてしまうこと」の対比
・最後の数十ページ、物語から目を離せなくなる感覚
・読み終えたあとに残る、ひやりとした温度差
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【本の基本情報】
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タイトル:復讐の泥沼
著者:くわがきあゆ
出版社:宝島社
ジャンル:ミステリー・サスペンス
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【あらすじ】
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物語の中心にいるのは、ふたりの人物です。
それぞれが歩んできた日々が、少しずつ明かされていきます。
なぜ、その手を離したのか。
なぜ、その背中を追い続けるのか。
いくつもの問いが、静かに積み重なっていきます。
ひとつ明らかになるたびに、また別の影が浮かび上がってくる。
読み進めるほどに、足もとがゆっくりと沈んでいくような物語です。
※詳細はぜひ実際に読んでお確かめください。
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【読んでみた感想】
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■ 最初に抱いた印象が少しずつ剥がれていく
読み始めたときは、ふたりの人物をある程度つかめているつもりでした。
けれどページを重ねるうちに、その印象がだんだんと揺らいでいきます。
知っていたはずの人が、知らない顔を見せ始める。
気づけば、自分がどこに立って物語を見ていたのかさえ、わからなくなっていました。
見えていた景色が、音もなく入れ替わっていく感覚です。
■ 求める心と振りまいてしまう心
この物語には、対照的なふたつの在り方が描かれています。
望んで誰かを暗がりへ引き寄せようとする心。
そして、自分の願いに向かってまっすぐ進むうちに、意図せず周りを翳らせてしまう心。
どちらが怖いのかと問われると、答えに迷ってしまいます。
悪意があるほうが恐ろしいはずなのに、気づけば、悪意のないほうに背筋が冷えていました。
自分のなかでは何ひとつ揺らがない、その静けさが、何よりも怖かったのです。
■ 最後の数十ページ物語から目を離せない
物語の終盤、それまで散りばめられていたものが、一気につながっていきます。
何気なく読み流していた場面が、まるで違う意味を持って立ち上がってくる。
気づけば最後の一行まで、息を詰めたまま読み切っていました。
読み終えた瞬間まで、物語の行方を見届けずにはいられませんでした。
■ 読み終えたあとに残るひやりとした温度差
物語が閉じたあと、しばらく本を置けませんでした。
重たい出来事のあとに差し込む、思いがけない温度。
そのギャップが、いつまでも頭の片隅に残っています。
怖いのに、なぜかもう一度最初から読み返したくなる。
今度はきっと、まったく違う景色が見えるはずだからです。
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【こんな人におすすめ】
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・一気読みしたくなるサスペンスを探している方
・人物の印象がくるりと変わる物語が好きな方
・散りばめられたものが最後につながる読書体験が好きな方
・読後にじわりと残る、少し怖い余韻が好きな方
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【まとめ】
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足もとがゆっくりと沈んでいくような読書でした。
けれど最後には、それまで見えていたものが静かにつながっていく瞬間が待っています。
読み終えたあとに残るのは、ひやりとした余韻と、もう一度確かめたくなる気持ち。
怖さと引力が、静かに残る一冊でした。


